秋吉理香子「月夜行路(げつやこうろ)」読了
秋吉理香子さんの「月夜行路」読みました。
『暗夜行路』にかけて“げつやこうろ”と読みます。


専業主婦の涼子は、冷え切った夫との関係や言うことをきかない二人の子どもとの生活に、疲労感と閉塞感を覚えていた。45歳の誕生日を明日に控えた深夜、書籍編集者の夫に女性から一本の電話がかかってきた。「小説家の重原宗助先生からの仕事が入った」と家を出てしまう夫。我慢の限界に達した涼子は、家を飛び出す……。涼子が向かった先は、夫の愛人ホステスが勤めるクラブの入ったビル。1階のBAR「マーキームーン」に入ると、文学好きの美しいママが話しかけてくる。性別は男だというママは、涼子の悩みや素性を鋭い洞察力と推理力で言い当ててしまう。涼子がママに夫の愚痴を話すと、唯一の「良い思い出」である大学時代の彼氏・カズトにもう一度会おうと、旅に出ることになる。
まずは、目次から
・序章「暗夜行路」
・第一話「曽根崎心中」
・第二話「春琴抄」
・第三話「黒蜥蜴」
・最終話「月夜行路」
そう、文学の話です。
主人公・涼子は夫の浮気の現場を押さえようと、銀座の高級クラブの入ったビルまでやってきた。
でも実際に入ったお店は、そのビルの1階にあるバーで、昔でいうところのおかまバー、今はなんて言うのかしら?
そこのママに話を聞いてもらい、どういうわけか、昔の男を探しに大阪まで一緒に行くことになる。
ママは小説家を目指しているとのことで、とても文学好き。
大阪の文学の聖地巡りをしながら元彼を探し回ります。
大阪って文学のゆかりの地がたくさんあるんですね、知らなかったです。
曽根崎心中は知っているけど行ったことはなし。
知っているのはせいぜい阪急梅田駅ぐらいでした。
しかも今は大阪梅田駅って言うんですね(阪神も)
涼子とママと初対面なのに一緒に旅をする、しかもどんどん仲良くなっていきます。
途中何度か殺人事件とかに出くわすのだけど、それも小説家を目指しているというママがあっという間に解決してしまいます。
(涼子の何気ない一言がヒントになったりもして…)
とてもいいコンビになっていくのです。
やっとのことで元彼の実家をつきとめ…。
ある程度、想像通りだったりするのだけど、そうだったのかと、ちょっと驚くこともあり、全てがわかってみると、なるほどなるほどと、とてもスッキリしました。
あれこれ答え合わせをしてちょっぴり感動だったり、せつなかったり…。
最近読む秋吉理香子さんはイヤミスじゃないものが多い気がします。
大阪の街にそんなに文学碑やゆかりの地があるなら、少しずつ行ってみるのもいいかなと思ったりしました。
秋吉理香子さんの作品で、後、読んでいないのは、
・無人島ロワイヤル
・殺める女神の島
です。
どっちも面白そう。